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蓼科の春夏秋冬

蓼科の春夏秋冬を私の山小屋生活の経験から述べてみる。期間は、2015年7月から2016年6月の1年間をベースにするので、年による差が大きい部分があるかもしれない。特に、今年の冬は暖冬と言われたので、その点は割り引いて考える必要がある。

<<四季の様子>>

  1. 夏:7月中旬から9月上旬。車山のニッコウキスゲが7月中旬が満開時期なので、これを過ぎると本格的な夏になる。陽射しが強い場所は暑い夏を感じるが、一歩木陰に入ったり、風は涼しいので都会のようなジリジリとした暑い夏ではない。実に爽やかな夏である。9月に入るとススキが目立ち秋の装いを感じ、残暑と言うイメージは殆どなく、朝晩は寒さを覚えるようになる。登山初心者にとっては天候が安定する夏がベストシーズンである。但し、夏は午後になると雷が出やすいので、午前中の登山がお勧めである。蓼科高原は八ヶ岳山麓なので、朝早くから登ることができる。登山愛好家にとっては、いつでも山の上から素晴らしい景色が眺められる絶好の場所にある。
  2. 秋:9月中旬から11月上旬。9月下旬には標高約2100mの白駒の池が色づき始める。ここから始まって標高800mの茅野市街地まで1か月半かけて紅葉が下りてゆく。私の住む山小屋BFCは10月中旬から下旬にかけ、辺り一面が紅葉する。いわゆる種々の広葉樹が自生している雑木林なので、山小屋は紅葉に包まれ見事な秋色に染められる。また戦後、長野県は他県と違って杉ではなくカラマツを推奨し植林して来た。お蔭で、高原地帯にはカラマツ林が多く、高原全体が紅葉する秋の景色は見応えがある。
  3. 冬:11月中旬から4月中旬。11月に入ると車のタイヤをスタッドレスタイヤに替えて冬支度を始める。メルヘン街道は11月中旬から4月中旬まで通行止めになり、麦草峠が通れなくなる。落葉すると、枯木の隙間から思ってもみなかった景色が現れる。山小屋BFCからは、南方に南アルプスの入笠山甲斐駒ケ岳が、北方に蓼科山が望めるようになる。また、晩秋から初冬にかけての朝は、平野部は濃霧に包まれるので高原からは毎日のように雲海が見られる。雲海が出なくなると雪が降り始め、本格的な冬に突入する。しかし、雪が降った後の晴れた寒い日こそ、一面の銀世界と青い空が織りなす素晴らしい景色が見られる。昨年は雪が少なかったが、標高1300mを越えると幹線道路以外は春まで冠雪する。私の山小屋周辺(1560m)の積雪は今年は少なかったが、例年では数十センチにもなる。やはり車は、車高が高い4輪駆動車が良い。12月下旬から2月中旬にかけては昼間でも零下の厳冬期で、慣れないと思わぬところで凍結トラブルを起こしてしまうのである。
  4. 春:4月下旬から7月上旬。桜の開花は平野部で4月中旬、高原で5月上旬になる。紅葉とは逆に、桜前線は1か月かけて平野から高原に上がって来る。トヨタ自動車が建立した聖光寺は桜の名所だが、満開はちょうどGWの頃になる。山小屋BFCの桜は、さらにその1週間くらいあとになる。桜が散ると新緑のシーズンに入り、5月中旬になって高原は緑色に一変する。ビーナスラインにある女の神展望台からは、八ヶ岳が一望できるのでこの変化を大パノラマで実感できる。桜や梅を除けば、多くの木々は新緑を付けたあと花を咲かせるので、この時期になって初めて木の種類に気付かされる事が多い。5月中旬から6月下旬にかけて、小梨、藤、レンゲツツジ、ヤマボウシ、など自生している木々が花を付ける。これにより、如何に多種多様な木々に囲まれていたのかを、改めて知ることになる。

 

以上述べたように、蓼科高原は夏は涼しく冬は極寒の高原地帯である。しかし、同じ高原地帯の軽井沢と比べると湿度が低く乾燥しているので、むしろ北海道の札幌などに近い気候と言える。札幌とは緯度が違う分、標高が高いので似た気候になるのであろう。また、十数年前に私が駐在していたデトロイトも、蓼科高原と良く似た気候であった。冬は厳しいが、住居の中は暖房がしっかり効いていて快適であった。また、秋・冬・春の季節の移り変わりがはっきりしていて実に美しい。夏は日本では当たり前の蒸し暑さは全くない。陽射しが強く暑くても、木陰に入れば涼しいので、快適な夏が過ごせる。私の住む蓼科ビレッジでは、夏でもクーラー不要である。

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