BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

新発見! 諏訪湖の朝の風景

名古屋シティーマラソンまで1か月を切ったが、少しも走る練習ができてない。と言うより雪山の方が楽しいので練習する気がしなかったのである。ところが、先日の雨で山小屋周辺の雪も消えてしまい、同時に雪景色を楽しもうと言う気持ちが萎えてしまった。それがキッカケで、そろそろ練習再開をと言う気が起きて来たのである。そこで諏訪湖の日の出と湖一周マラソンをするため、朝4時起きで諏訪湖に出かけた。しかし、快晴の天気予報にも関わらず、肝心の八ヶ岳上空だけに厚い雲がかかり、日の出撮影は期待できなくなってしまった。ところが、このあと思わぬ光景を目にすることになり、諦めずに撮影・制作したのがタイムラプス『諏訪湖の朝の風景』である。

 

これまでも何度か諏訪湖の水鳥を見てきたが、こんなにも沢山の水鳥を見たのは初めてである。ここは横河川が諏訪湖に注ぐ場所で、餌が豊富なためだろうか昔から水鳥が集まっていた場所である。そこに人が餌付けをして来たので、諏訪湖中の水鳥が集るようになっていた。特に、コハクチョウが多く飛来し冬の諏訪湖の風物詩になっていた。しかし、今年は残念ながらコハクチョウの姿が見られなかった。ところがこの日、思いがけずたった3羽だがコハクチョウとばったり遭遇した。これは後段で述べることにし、先ずは諏訪湖一周をマラソンしながら楽しんで来たので紹介しよう。

諏訪湖は、諏訪市、下諏訪町、岡谷市の3市町に跨っている。この3市町が力を合わせて湖岸整備をしてきたお陰で、遊歩道はしっかり整備され市民に利用されている。全周に桜や柳の木が植えられ、彫刻やモニュメントも至るところに設置されている。彫刻は年1回、市民ボランティアの手で大掃除され、文字通り市民がこよなく愛する憩いの場になっている。長野県は長寿日本一と言われている。寒暖厳しいが自然豊か風光明媚な湖岸を、散歩するだけで心が癒され健康増進になるのは疑いようがない。何と歩いている高年者が多いこと。これを見ても、長野の人が長寿であるのは十分頷ける。都会の人達から見れば羨ましい限りの光景であろう。

一周16kmを4つの区間に分けた看板が、コース案内してくれるのでとても走り易い。スタート地点は、大花火大会が開催される諏訪市の湖畔公園とした。最初は久しぶりに練習しなければと思っていたが、どこを見ても絵になる光景であると直ぐに気付かされる。自然とマラソン練習より景観を楽しむ事に気持ちが移り、スマホでスナップ写真を撮りながら走ることにした。ここから約2時間の小旅行が始まるのである。

 

上諏訪から下諏訪へ

諏訪市の湖畔公園には数々の彫刻やモニュメントがある。市民や観光客の憩いの場として親しまれている。湖岸通りには温泉旅館が軒を連ね、また美術館も多く点在する。なかでも上諏訪にある服部美術館や北澤美術館は有名である。この日は、湖は全く凍ってなかったが、この湖東は比較的凍りやすい場所である。先日の大寒波のあとに来た時、割れた氷が流氷のように湖岸に打ち寄せていた。また、この辺りの木々は思いのほか小さく、見通しがきく遊歩道になっている。花火大会の際には、むしろ木が小さいことが幸いするのかも知れない。

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下諏訪から岡谷へ

この区間は湖の北側に当たり、温泉街に比べると静かで落ち着いた雰囲気である。また漕艇場が整備され競技用のコースもできている。湖北には幾つか小さな川が流れ込んでいて、昔から水鳥たちの餌場となっていたのであろう。そこへさらに野鳥の会の人達が餌付けをしているので、朝一番は沢山の水鳥が集まってくる。日の出撮影を諦めて車で移動中、偶然その光景を目にした。鳥インフルエンザの流行以来、餌やりは原則禁止されていると聞いていたが、野鳥の会だけは特別のようである。その餌場を過ぎてさらに走って行くと、何とコハクチョウ3羽が沖合に浮かんでいるのを発見した。今年は見られないかと諦めていただけに嬉しかった。ただ、岸から遠かったのでスマホしか持っておらず、これ以上ズームアップできなかったのが心残りである。

さらに進むと彫刻やモニュメントが設置された湖畔公園が現れる。公園の真ん中辺りに釜口水門がある。諏訪湖は天竜川の源流になっており、この水門から流れ出した水は天竜川を経由して太平洋に注がれる。地元の釣り人が集まっていたので話を聞いてみると、ワカサギは12月から1月にかけてが時期で、今はだんだん釣れなくなって来たと教えてくれた。それでもバケツには何十匹ものワカサギが入っていた。

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湖北から山迫る湖西へ

湖西は諏訪大社の御神体とされる「守屋山」と同じ、南アルプス山系の山々が迫っている地域である。人家は少なく土地も狭いので、昔は漁業が主体の地域だったようである。小さな港が点在したり、民宿と兼業の釣り船屋さんなどがその面影を残している。冬のワカサギ釣りは極寒の中で行われたいたが、今はドーム船があって暖かい中でワカサギ釣りができる。このドーム船は「民宿みなと」が発明したもので、新しい諏訪湖の冬の風物詩になっている。この区間の終点には、SUWAガラスのギャラリーがある。十年以上前に2~3回来たことがあるが、当時はここでセカンドライフを過ごすなんて思ってもみなかった。いつも通る度に、何か懐かしさを思い出させてくれる素敵なギャラリーである。

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のどかな湖南から賑やかな温泉街へ

SUWAガラスを過ぎると、あまり人家が無くのどかな風景が続く。並木道には柳の大木と桜が両側に並び、花が咲き新緑が出てくると全く違う趣になるだろう。これまでの区間と趣の違う遊歩道は「さざなみロード」と名付けられている。さらに足を進めると、原田泰司美術館やサンタモリーナ教会が現れる。この洋風建物と湖と周囲の山々を切り取って見ていると、諏訪湖が東洋のスイスと言われるのも分かる気がする。ここはちょうど諏訪湖に流入する最大の川「上川」の河口である。この川を越えるといよいよ上諏訪温泉街に入るので、あと2~3キロでゴールになる。その入り口には諏訪港があり、大型遊覧船や釣り船の発着、ヨットハーバーとして使われている。諏訪湖一の賑やかなエリアで活気があるが、ここも湖岸はしっかり整備されている。日本庭園や、彫刻や、水鳥も上陸してくる広場があり、地元の人だけでなく多くの観光客も散歩している姿を見る。訪れる人の心を癒してくれる空間が、実によく自然と調和して作りだされている。改めて諏訪湖の素晴らしさを、マラソンしながら感じた次第である。車で通り過ぎるのではなく遊歩道を歩いてみると、諏訪湖の本当の素晴らしさが味わえることを、改めて知ったのである。

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諏訪湖一周の小旅行も終わり、帰路についた。帰り道は、地元の人が利用する通称バイパスと呼ばれる上川の堤防上の道路である。信号がない一方通行の道で、のどかな上川を見ながら走れるので好きな道路である。すると河原に一台の車が止まっていた。良く見るとその先の川面に何とコハクチョウの姿があった。もう一度Uターンして戻り河原に降りてみた。車はいなくなっていたが、3羽のコハクチョウは優雅に川の流れに身を任せていた。音を立てないよう注意して、今度は一眼レフに望遠レンズを付け、ズームアップでコハクチョウを写すことができた。ここも以前は餌付けをしていた場所だが、鳥インフルエンザ事件以降はやめているようだ。今年になって数回来てみたが、ただの1羽のコハクチョウも見たことがなく諦めていた。恐らくこの3羽はマラソン中に諏訪湖で見た3羽に違いない。

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今日は、期待外れの日の出に始まって、諏訪湖の魅力を新発見し、待ち望んだコハクチョウに遭遇した。私にとって収穫の多い一日、いや半日であった。これからも時々は諏訪湖まで足を延ばし、東洋のスイスを堪能して行きたいものである。

 

 

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