BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

冬の蓼科、星降る夜に

今年、初めて蓼科ビレッジで冬を過ごしている。暖冬と言えども夜はマイナス10度以下、昼でも零下の寒い高原地帯である。その代わり空気は澄み、晴れると抜けるような青空、燃えるような夕焼け、星降る高原の空がいつでも見られる。気候が厳しいからこそ素晴らしい景色が見られと思うと、多少の寒さは十分我慢できる。このところ晴れる日が多かったので、つい毎日のように極寒の中、星空撮影に出かけていた。今回、それを一つの動画にまとめ「八ヶ岳の冬の星空」を制作した。

 

ここで、この作品を制作する過程について少し述べておこう。この2月になって寒いが晴れる日が続き、星が綺麗なのに惹かれ都合4回も撮影に出かけた。1回目は、横谷展望台から東の空に上がるオリオン座(シーン3)を撮影した。この展望台はこの時期訪れる人が殆んどいない。まして夜に来る人はいないので、カメラを設置したままでも問題なさそうと考えたのである。ここで大きなミスが発生する。それは月の出の考慮ができてなかったことである。8時間撮影予定の撮影開始から4時間後くらいに満月に近い月が出て来たのである。満月に近い月は明るすぎて星空撮影には向かない。結果、半分が星空シーンには使いものにならなかった。

2回目は、周りの明かりが全くない最も暗い場所として、蓼科ビレッジ内でオリオン座(シーン2)を撮影した。星は素晴らしく綺麗だが、どうしても視界が狭くなってしまう。

3回目は、思い切って少し足を延ばし、山を下りた車で10分くらいの芹ケ沢まで行った。畑のど真ん中から八ヶ岳の山並みを入れ、冬の星空を広角で撮れる場所である。先ずは、冬の星座の定番であるオリオン座を中心に、明るい星が多い東南の空(ラストシーン)を撮影した。これは何事もトラブルなく、思いの外うまく撮れた。

これに気を良くして、次の日(4回目)も同じ芹ケ沢に出かけ、蓼科山方面を見て北極星(シーン1)を撮影した。この方向にピラタススキー場があり、この夜間照明がやけに明るい。星がややこれに負けてしまった。まだまだ課題は多いが、カメラを手にして数ヶ月の初心者としては、大満足の集大成作品である。

      撮影シーンのマップ

撮影シーンのマップ

タイムラプスでの星空の撮り方については「星空をTimelapsで撮る」の投稿で説明した。今回は、それをベースにおおよそ次のような撮り方をしたので紹介しよう。

  • 場所の選び方・・・どんな星を中心に撮るのかをiPhoneアプリ「星座表」で調べ決める。その方角に視界が開け、且つカメラを長時間放置して置ける場所を探す。昼間の間に現地でどれくらいの画角で星空が写せるか、問題になるような光源はないかを調べておく。少なくともカメラ設置場所は街路灯がなく、頻繁に車や人が通らない真っ暗な場所でなければならない。私の場合は、多少周りの地形や風景を織り込みたいので、暗くてもそのようなシーンが撮れそうか否かも大事な要素にしている。
  • カメラの設定・・・ピントは事前に明るい場所で無限側で合わせ、動かないようテープで止める。カメラをマニュアルモードにセットし、シャッタースピードは15秒~25秒、F値は最小、ISOは3200か6400、WB(ホワイトバランス)は白熱電球(3200K)にセットする。フィルタはKenkoのPro SoftonAとFoggy Aを使ったが、Foggy Aはやや滲みすぎるので、星が綺麗にみ見え条件が良い場所ならPro Softon Aの方がよい。
  • 寒さ対策・・・二つの対策が必要。一つ目は、カメラの電池容量の拡大である。温度が低いと電池の消耗が激しくなる。4時間以上の撮影には外部電源が必要で、Canon バッテリーグリップを使って容量を2倍にする。二つ目は、カメラの露結・凍結防止である。レンズが曇るのを防ぐには、レンズ側の温度を周囲より高くする。そのためヒーターをレンズの筒に巻く。ヒーターは「ヒーターのよこた」のタイプ6MSP、その電池にはPanasonicのモバイルバッテリーQE-PL202-Kを使用している。両者を使用することで約8時間程度の撮影が可能となる。
  • 現地作業・・・現地では、暗く寒いので細かい作業はできない。事前に可能なことは全てやっておく。せいぜい現地でやるのは、試し撮りをしてカメラの向きと仰角を合わせるくらいである。今回は、日の入り40分過ぎの真っ暗になる前に現地入りし、セット後しばらく暗くなるまで車で待機していた。頃合いを見計らい自動シャッターを押し、1つ目の写真が狙い通りに撮れることを確認し、カメラの液晶を電池消耗を押さえるため閉じて現地作業を完了。あとは数時間後に回収に来るのみで、それまでカメラは置きっ放し状態である。盗まれないよう人目の付かない様に設置し回収する。
芹ケ沢の畑の中

撮影現場の芹ケ沢の畑の中(車で待機中のマジックアワー時間帯)

  • 映像作成・・・これまでの経験上、星空はRAWデータを使って現像する必要はなく、JPEGデータがそのまま使える。そこで、カメラのSDメモリから直接PCにJPEGを読み込み、Microsoft Moviemakerを使って写真を映像化する。星の動く速さは、1分毎にシャッターを切り1コマ1秒の映像にする。それをさらに8倍速にする。従って、8時間撮影すると1分の映像になる。これに最近知った甘茶の音楽工房さんのフリー曲「星降る夜に」を選定し追加した。

 

出来上がった動画は、星の動くスピードと音楽がピッタリ合っている。音楽はその映像に命を与える重要なもので、狙った冬の星空物語に仕上がった。この星空のタイムラプス映像は、言ってみればこの半年間の蓼科生活の集大成と思っている。できれば今後、音楽も自作してみたいと思っている。

FavoriteLoadingAdd to favorites

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください