BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

まぼろしの東京マラソン

2月17日、無情にも東京マラソンの一般参加取りやめが発表された。一般参加中止は止むを得ないが、ここには色々な当事者事情がある。大会後に『東京マラソン、完走しました』と投稿するつもりでいたが、叶わなくなってしまった。これまでの東京マラソンにかける思いを突然断ち切られ、目標を見失ってしっまた私の心情を書き綴ってみたい。

参加の経緯

昨年から南アルプスを登るようになり感じたのは、数日間縦走できる体力の必要性である。これまで八ケ岳中心だったので、アクセスも良く殆ど日帰り登山が可能であった。しかし南アルプスはアクセスが悪く歩行距離が長くなるので、高齢者には数日間の連泊が余儀なくされる。そこでもっと体力をつけせめて2泊3日以下の山行にしたく、体力を付けるためマラソンを再開することにしたのである。マラソンは2014年12月のホノルル以降まともにやっていなかった。だが、登山を始められたのもマラソン経験があったためで、マラソンと登山は体力的にも精神的にも共通点が多いスポーツなのである。

そんな思いをしていた時、ふと東京マラソンの参加募集を目にしたのである。倍率が10倍以上の人気イベントで、東京オリンピックとほぼ同じコースを走れることを知った。オリンピック・ムードが盛り上がる中、冗談半分で申し込んだら運よく抽選に当たったのである。ホノルルが6時間越えではあったが、東京マラソンの制限時間は7時間なので十分完走できるはずである。そこで昨年10月、16,200円の参加費を納めてから5カ月に亘る東京マラソン挑戦が始まった。

 

目標と練習場所

改めて大会要領を読むと、制限時間は号砲が鳴ってから7時間との事。最終ブロックからスタートするとスタート地点を超えるまでに30分掛かるらしい。と言う事は6時間半以内で走らないと完走できない事になる。ホノルルと同じように走っていては、最悪どこかの関門で引っかかってしまう恐れがある。そこで、完走目標を6時間以内として練習に取り組むこととした。

私の住む蓼科は高原地帯なので周辺道路はアップダウンがきつく、マラソン練習には不向きである。そこで車で20分の白樺湖を練習拠点とし、1周4Kmの湖周回コースを走ることにした。しかし久しぶりに走ってみると、1Km7分半掛かってしまった。42Kmを6時間で走るには、1Km8分半以下で走らなければならない。不安が募る中で2~3回トライしたが、なかなかペースを上げられなかった。そこで良く考えてみると白樺湖は標高1500mであることに気付いたのである。これは明らかに高地トレーニングしている様なものだ。気温や標高を考えると、冬場の蓼科はマラソン練習には不向きであると言わざるを得ない。

そこで今シーズンは蓼科を離れ、名古屋に戻ってマラソン練習に励むことにした。名古屋の練習コースは、瑞穂運動場まで20mの下り山崎川周回はほぼ平坦なコースである。このコースは走り慣れているばかりでなく、東京マラソンと良く似た高低差を持ったコースだ。さらに自宅まで走って戻るためには、ラスト2Kmが登りになり精神的な粘りも鍛えることができる。目標を完走に置く私にとっては、肉体的・精神的両面を鍛えられる最適な練習場所だと思われる。

中止決定に思う事

11月に入り名古屋に本拠地を移し本格的な練習を始め、年末年始の孫とのスキーも怪我を危惧して控えた。1月に入ってからの2か月間、無理なく練習するには3日に一度14Km位が適切だと考えた。それでも時には完走出来るか否か心配になり、ハーフは走っておこうと頑張ることもあった。そんな東京マラソンに向け、これまでで最も充実したマラソン練習に励んでいた。残念ながら1月末にインフルエンザを罹患してしまったが、それも最短で治し何とか本番には間に合いそうだと喜んでいた。この数ヶ月、生活のすべてを東京マラソン目指し頑張って来たと言っても過言ではなかった。2/17の一般参加中止の発表はその矢先の出来事で、私にとっては無情な仕打ち以外の何ものでもなかったのである。

新型コロナが広がりを見せる中、3/1にはエリート選手だけの東京マラソンが開催された。テレビを見ていると、何と沿道には沢山の観客がいるではないか。悔しさ残る複雑な気持ちでテレビを見ていたが、唯一の救いは大迫選手の活躍である。ハラハラする展開の中、日本新記録を出せたのは素晴らしい。最後の東京駅を背景にゴールする選手の映像をテレビで見ていると、私も走って見たいとの思いが自然に湧いて来た。最後になって改めて来年走りたいとの気持ちになり、まぼろしの2020東京マラソンは終わったのである。

 

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