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DIYによる石窯作り 〜二層式カマボコ型〜

石窯作りの第3弾は、核心部分の石窯本体の製作についてである。大まかな設計は最初にしたものの、細部についてはやってみないと分からない事が多い。そこで結果論ではあるが、本体の石窯作りでのポイントは次の3つに集約されると思った。

  1. アサヒキャスターの利用・・・今回、煉瓦の接着や不定形部分の成形をアサヒキャスターと呼ばれる耐火モルタルを使用した。水を混ぜるだけで使用でき、実際に1枚板の焼床もこれで製作した。ホームセンターでは取り扱っておらずネット販売なので割高であるが、実にどんな形状の耐火モルタルでも作れる。これがあったから石窯を自作できたと言っても過言ではない。
  2. カマボコ型部分の作り方・・・要はカマボコ型の木枠を、如何に作れるかにかかっている。木型が出来れば、それに沿って耐火煉瓦を積んで行けばよい。但しこの時、一般の長方形の煉瓦ではなく、横ゼリと呼ばれるクサビ形の煉瓦を使用することも上手く作るポイントの一つである。これもホームセンターでは取り扱っておらずネット販売なので割高になる。煉瓦は重量物なので送料が高く、単価が約2倍になってしまう。
  3. 煙突の作り方・・・ネットで検索すると色々な煙突の立て方がある。一つは取付け位置で、熱流を良く考えて決めなければならない。もう一つは何で作るかである。煉瓦で作る場合は直上にしか積み上げられないので、屋根の製作が面倒で難しくなる。そこで石窯の真上ではなく横、即ち屋根を避け外に出す方がベターであると考えた。これにはステンレス製の煙突が利用できる。煉瓦に比べれば材料費は高いが、後々の取り回しが優しそうなのでこの煙突を採用することにした。

 

下窯の製作

下窯のキーポイントは、如何に耐火モルタルを使いこなせる様になるかである。下窯は自身は土台の上にコの字型に煉瓦を積んで行けば良いので、それほど難しい工程ではない。但し、積み上げる煉瓦は予め水につけおく必要がある。もし乾いた煉瓦にこれを使うと、耐火モルタルの水分が煉瓦に吸収され耐火モルタルの接着強度が落ちてしまうからである。逆に、たっぷり水分を含んだ煉瓦に硬めの耐火モルタルを乗せると、煉瓦の水分を耐火モルタルが吸収して柔らかくなる。この水分量の調節を下窯作りの段階で、十分会得しておく必要がある。

私の経験をまとめると次のようになる。

  • 耐火モルタルは水分を少なめにして、少しボロボロとなるくらいの方が良い
  • その代わり、使用する煉瓦には予めたっぷり水を浸み込ませておく
  • 耐火モルタルは土台側にのせ、必ず石頭ハンマーで叩いて密着させておく

十分、耐火モルタルの扱いに慣れたので、いよいよ焼床を作成することにした。先ずはコンクリートパネルと呼ばれる合板を下に敷き、そこに50mmの高さの巾木で型枠を作る。大きさは600Ⅹ900 の長方形で、25Kg入りの袋を殆ど1袋分使用した。耐火モルタルを型枠に流し込み表面を滑らかにして24時間以上乾燥させる。問題は総重量が数十キロと重くなることである。一人作業では、なかなか思うように腰の高さまで持ち上げて下窯に据え付けるのは至難の業であった。結果、1人で据え付けで来たものの真ん中にヒビが入ってしまった。窯の性能には問題ないのでそのまま使用することにしたので、これで下窯の完成である。

 

上窯の製作

上窯のキーポイントは、如何に木型を上手く作れるかである。先ず、木型は大きく3つの部位に分かれる。

  1. 一つ目はカマボコ構造の中心となる半円板を数枚作る。この板には木ネジが使えるくらいの厚みがあり、且つ糸鋸でカットし易い材質の物を選ぶ。今回は厚さ20mmのベニヤ板を使用し、4枚の半円板を作成した。
  2. 二つ目はこの4枚の半円板の底を繋ぐ板を2枚作る。ちょうど神輿を担ぐ竿に当たる部分である。梁の役割りをするので、ある程度強度があるものが良い。
  3. 三つ目は、カマボコの円筒面に貼る板で、できる限り曲げやすい薄い板が良い。今回は厚さ2mmのベニヤ板を使用したが、円周方向に沿って曲げて貼るのは結構大変であった。そこで、100mm幅の板に分割し長手方向に何枚も貼り合わせてカマボコの側面を作成した。いわゆる張りぼて式の木型である。

作成したカマボコ型木型を焼床の上に置き、端材で高さ調節して設置する。ここまで出来れば、あとは下窯と同様に煉瓦を耐火モルタルで接着しながら積んで行けば良い。背面も見栄えさえ拘らなければ、カマボコの筒を閉じられればよいので煉瓦を単純に積むだけで良い。難しいのは、窯の入り口部分である。熱効率を上げるためには、釜口を窯高さの3分の2、幅を7割くらいに絞る必要がある。これを煉瓦で作ろうとすると、煉瓦を円周に合わせてカットし且つ窯の上部からぶら下げる配置となってしまう。そこで煉瓦をカットし直したり、万力や端材で下から押さえ付けて接着したり、3回のトライ&エラーをしてようやく成功することができた。見栄えは悪いが何とか、12インチ・ダッチオーブンが出し入れできる開口部ができた。これで上窯の完成である。

煙突の取付け

煙突のキーポイントは、取付部の構造である。煙突そのものは汎用部品があるので、それを組み合わせれば自由に作れる。しかしダンパー部品がとても高いので、私は煉瓦で簡易ダンパーを自作する事にした。この作成方法・作成手順に2・3日頭を悩ましたが、遂に煉瓦と耐火モルタルだけで簡易ダンパーを製作することができた。火入れ時の煙の様子では、やや取付部からの漏れはあるものの上窯から煙突排出口への空気の流れはスムーズである事が分かった。煙突は直上に真っすぐ出すのがベターであるが、その場合は屋根をぶち抜かなければならないので、クランク状に配管し屋根を迂回させて出すことにした。これで煙突も取りつけることができ、2層式カマボコ型石窯の完成である。

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