BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

南信州の桜の新名所めぐり

今年の桜は、どこも例年より1週間くらい早くなってしまった。所用で名古屋に帰っている間に、甲信地域の桜の名所の満開が過ぎてしまった。そこで、4月10日に名古屋から蓼科に向かう途中の南信州に、桜が満開の所がないか調べて見た。すると私にとって思わぬ新名所が二つ見つかったのである。そこで今回はその様子を紹介しよう。

  1. 大鹿村の大西公園・・・南アルプス最高峰・赤石岳(3121m)を借景に桜が見られる
  2. 辰野町の荒神山公園・・・園内800本の桜と池を泳ぐ150本の鯉のぼりが見られる

 

大西公園

大鹿村は、間もなくリニア新幹線工事が佳境に入ってくると、大幅な交通規制がされるかもしれない。また、南アルプスの深い山腹にあるためアクセスが良くない。狭い道の運転に不慣れな人には行き難い所である。幸か不幸かそのお陰で混んでいないので、ゆっくりじっくり桜が楽しめる。訪れた日は雲一つない快晴、桜も満開の絶好のお花見日和であった。峡谷の奥に聳える赤石岳は真っ白な雪が山頂に被っており、桜のピンク、空の青、山頂の白、山腹の緑の素晴らしいコントラストで出迎えてくれた。山深い中、時間かけて来ただけの価値がある景観である。今では桜の下で宴会もできる憩いの公園であるが、設立経緯には大鹿村の悲しい歴史があったのである。

1961年の集中豪雨で大西山が崩れ、公園となっている場所にあった40戸余りが土砂に飲み込まれ134名の人が亡くなられた。この痛ましい災害から立ち上がろうと、この地に公園を作り観音菩薩が建立された。その後いつしか村人達が桜の木を植え始め、今では3000本からなる美しい桜の公園となった。即ち、この公園は大鹿村復興のシンボルなのである。

 

荒神山公園

この公園は辰野町のほぼ真ん中にあり、小高い丘の上に作られた市民の憩いの場である。園内には陸上競技場や野球場など種々のスポーツ施設だけでなく、美術館や昆虫館などの文化施設もある。また、「たつのパークホテル」や「湯にいくセンター」などの宿泊施設もある。桜は、公園内の溜池「たつの海」周辺に植えられ、市民のジョギングや散歩コースとして楽しまれている場所である。このたつの海は農水省のため池百選に選ばれており、周辺の水田の灌漑用として利用されている。約800本の桜が植えられ、この開花に合わせてたつの海には約150本の鯉のぼりが掛けられ見事な景観がみられる。桜と池と鯉のぼりは、どこか懐かしい日本の姿を漂わせており、心癒される公園である。

信州にはこの他にも、特徴のある桜の名所が沢山ある。桜の下での宴会と言うよりは、周囲の自然を借景に桜そのものを楽しめる場所が多い。都会より1・2週間、場所によっては1ヶ月近く遅いので、その年の開花状況が分かってからでも十分計画が立てられる。自然の中の桜を味わうことで、信州と言う「花溢れる自然が素晴らしい地域」を感じてもらえれば幸いである。

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