BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

観光しながら皇居マラソン

蓼科では1月25日にマイナス17.6度を記録し、これが今年の最低気温であろう。ちょうどこの日、この寒さから逃げるように東京に出かけたのである。目的は、いつもの大学同期との飲み会と皇居マラソンである。飲み会は、稀勢の里の横綱昇進を祝い両国のちゃんこ料理であった。そしてその翌日、東京に来た時の恒例になった感のある皇居マラソンをしたのである。

皇居周辺は、日本の中心だけあって歴史的にも文化的にも貴重な建物が集中している。そこで今回は、いつもの皇居よりの内周コースではなく一つ外周りの自称 観光コース を回ることにした。特に定まったコースがある訳ではなく、自分で見たいものを勝手に選んで走るのである。Google mapで調べてみると、皇居周辺にこれだけ色々なものがあったとは私にとっての新発見であり、これを観光コースと名付けたのである。ルートは下図に示すが、ここでは建物別に紹介することにしよう。

A.日本国政の中枢ビル群

何と言っても見どころは、桜田門周辺に集まっている政府関係の庁舎、いわゆる霞が関である。代表格は国会議事堂である。その他、最高裁判所や外務省など日本の中枢機関が集まっている。しかし良く見ると、同じ行政庁舎でも歴史的な建造物があるかと思えばただの古びたビルや新しいデザイン的なビルなど様々である。何か省庁間の力関係でこうなっているのであろうか。

B.芸術文化の中心的建物

西の半蔵門側に国立劇場、東の馬場崎門側に帝国劇場がある。北の北詰橋門側に東京国立近代美術館と国立公文書館、乾門近くに東京国立美術館の工芸館がある。さらにその北西には日本武道館がある。やはり芸術文化施設は一見してそういう施設であると感じさせる。特に、北の丸公園の一角にあるレンガ造りの工芸館は、高速道路の脇に建っており千鳥ヶ淵砲台跡のある高台から見ると、まるでヨーロッパに居るかのような錯覚を覚える景観である。

C. それぞれ趣のある公園

祝田橋の南にあるのが懐かしの日比谷公園である。40年前の学生時代に行ったきりで久々に中に入ってみたのである。小高い山からは皇居外苑の木々の向こうにビル群が見える。ニューヨークのセントラルパークまでは大きくないが、良く似た景観である。また野外大音楽堂もまだ残っていたのは嬉しい。今でも使われているのだろうか。日比谷公園のから北に進むと、皇居外苑の外堀がある。やはりウォータフロントは心落ち着く場所である。東京でも先日来零下が続き、ビルの日陰はすっかり凍っていて、走っていると手が冷たく悴んでしまう。さらにゆくと和田倉門にちょっとした憩いの場の和田倉噴水公園がある。入口の橋の欄干にはカモメが鈴なりとまっていたが、すぐ横を通ってもビクともせず人間を全く怖がらない。公園内には近代的なモニュメントがあるが、皇居の巽櫓をバックにすると和洋混合で面白い風景になる。これらは皇居内回りコースの目と鼻の先ではあるが、いつもは通らない公園である。皇居周辺の公園は皇居と一体となって、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒し空間であると改めて感じた次第である。

D.国状が現れる大使館

西の半蔵門側には幾つか大使館が建っている。とび抜けて立派なのがイギリス大使館である。一見すると美術館かと思うような歴史的建築物が随所にあり、敷地面積でも国会議事堂並みである。さすが、かつての大英帝国らしさがに残っている。それにひきかえイスラエル大使館は、どこに大使館があるかわからないくらいだ。しかし物々しい警備がされているので、何かあるなと分かってしまう。これらの建物の前に立つと、その国の歴史や現在の国状を何となく感じるのは不思議である。

皇居1周は5Kmのコースであるが、寄り道ばかりしていたので今日は1周が8Kmになってしまった。しかし、観光しながら写真を撮りながらだったので、殆ど疲れが無かった。今更ながら日本の中枢で仕事している人達を見ると、国家を背負えるなんて羨ましい限りである。この界隈は、そんな日本の中心と言う魅力が漂うところである。

やや残念に思ったのは、都市全体の景観が全く考えられていないと言うことである。ヨーロッパは旧市街と新市街を完全に分離したり、景観を重要視して建造物の規制をしたりしている。京都もそうであるが東京も同じで、折角の歴史的な素晴らしい建物が周囲の雑然としたビルに紛れて何とも絵にならない。カメラで一生懸命その空間を切り取ろうとしてもうまく行かないのである。もう少し景観まで考えた都市計画をできないものだろうか、改めて残念に思った次第である。

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