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蓼科の秋 ~ 紅葉と鹿の鳴き声 ~

10月中旬になると、蓼科高原も秋真っ盛りになる。その象徴は、何と言っても素晴らしい紅葉と、鬼気迫る鹿の鳴き声だ。今年も例年の様に、10月になると桜が真っ赤に染まるのを皮切りに徐々に周りが褐色に変わって行き、夜になると女性の悲鳴とも思える甲高い鳴き声が響くようになる。コロナ禍の特別な年であろうと、季節はいつもと変わらず訪れるのである。今回は、そんな蓼科を散策して撮った秋色の風景と、夏毛から冬毛に変化した鹿の生態を幾つか撮影できたので紹介しよう。

高原の秋の装い

9月下旬、標高2100mの白駒の池に紅葉が始まると、下旬にかけて蓼科山麓にも紅葉前線が降りて来る。我が山荘は毎年20日前後が、一番の見頃となる。ただ木の種類によって半月以上紅葉するタイミングが違うので、先ずは所どころ徐々に紅葉し始め気が付くと全体が紅葉に染まっている。最も紅葉が早いのは桜、最も遅いのはカラマツである。だからカラマツが紅葉すると高原全体が褐色に染まり、この様子は茅野の街から見ても良く分かる。

そこで高原内の紅葉を求めて色々と散策して見た。しかし、白駒の池は人気が出過ぎて朝早くから観光客が車で訪れるので、駐車場の混雑は勿論のこと道路も渋滞してしまう。特に、今年はGo To キャンペーンのせいか、メルヘン街道を通る車の量が非常に多い。蓼科高原の原生林は黄色に紅葉する木が多く、赤く紅葉するのは後から植えたものが殆どだろう。京都の紅葉も赤いモミジ(カエデ科)が有名だが、蓼科のカエデは黄色く染まるものの方が多い。これは先日訪れた白馬山系の紅葉とも大きく違う所だ。ただ、都会と違って一部の木ではなく全てが紅葉するので、背景の緑が一気に褐色に変わると言う何とも言えない景観を目の当たりにするのである。住んでいる者にとっては日々のその変化に心癒される思いがするのである。

鹿の生態の変化

もう一つの高原の秋の変化は、鹿の生態である。鹿の夏毛は明るい茶色で白い水玉模様がある。これが秋になると黒っぽい茶色で白い水玉が無くなる。また夏場に高原に居る鹿は雌の群れで、角が生えた牡鹿はもっと標高の高いところにでもいるのか夏場は見ることはない。しかし秋になると何処からともなく雌の群れに付きまとうようになる。秋は鹿にとってのいわゆる交尾期で、夜になると場所を知らせる合図の様に、高い声で「キーン」と鳴くのである。長年住むうちに、この声を聞くとそろそろ紅葉が始まるなと感じるようになった。

こうなると昼間でも雄鹿と遭遇することが多くなる。まだ若く角が短い雄鹿も居れば、角が1mくらいの立派な巨体の雄鹿までいる。こんな雄鹿と散歩中に出くわすこともしばしばである。以前は襲われるのではないかと恐怖感を覚えたこともある。今では、例え巨体の雄鹿でも人間を襲う事はまずないことが分かったので、安心して散歩も出来るし平気で写真を撮ることもできる。その点、熊やイノシシと違って獰猛な動物ではないので、生活圏が一緒でも不安はない。問題は木や草花の食害である。食には貪欲なので、あらゆる食物が被害にあう。幼木や草花には鹿除けネットや柵は必須である。特に秋は来る冬に備えて食べ込む時期なので、すこぶる食欲旺盛な時期である。

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