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DIYによる石窯作り ~振返り~

11月2日、今年最後のピザパーティを行った。ピザ作りも窯の温度管理も今回が一番良かった。蓼科はもうすぐ全部落葉し最低気温も零下になって、凍結や雪の心配をする季節になる。これで石窯も来年の春までお預けだ。ちょうど昨年の今頃「DIYによる石窯作り ~基本設計~」にあるように、色々な調査をして窯の構造や形などを決めた。しかし実際にやってみると思っていたようにならないことも多々ある。そこで石窯1年目の振返りをし、次の3つの事について私の考えを紹介する。これが石窯に興味を持つ人の参考になれば幸いである。

  1. 石窯よりピザ窯
  2. 左官はプロの業
  3. 全天候型で利用促進

 

石窯よりピザ窯

当初は、折角窯を作るならピザだけでは勿体ないと考えていた。そこでピザ窯と言わず石窯と言う表現を使っていたが、いざ石窯料理と言ってもダッチオーブン料理とダブるところが多い。実際にピザを焼いてみて、2層式では上窯が高温にならずピザには適してないことが分かった。そこで窯はピザ専用の方が良かったと思うようになり「わざわざ2層式構造にする必要も無かった」と言うのが反省点である。

本来、2層式の窯は下窯で薪を炊いて上窯で料理する構造のためにある。下窯で薪を炊き続けることで上窯の温度を長時間維持できるので、色々な料理に使えると言うのが特徴であった。所が下窯で幾ら薪を炊いても、上窯をピザに必要な300度以上の高温にするのは難しい。2時間薪を燃やし続けたが、200度以上にならなかった。そこで仕方なく、上窯で薪を炊いて300度以上になったら薪を脇に寄せ、ピザを焼く方法に変えたのである。これは何を隠そう1層式としての使い方に他ならない。つまり、最初から欲を出さずピザに的を絞っていれば良かったと反省しきりである。そう言う意味で、ピザをメインとするならば欲張らず「石窯よりピザ窯」を目指すべきだった。

左官はプロの業

石窯は耐火煉瓦を積み上げて作る構造物である。全体の形は、煉瓦の大きさと数を予め計算しておけば決まるが、しっかりした構造物とするには煉瓦と煉瓦を耐火モルタルで接着する必要がある。実際にやってみると、モルタルは計算通りの厚みにならず満遍なく隙間に充填するのが難しい。固いと接着し難くく、柔らかいと流れ易い。上面に塗る時は柔らかめ、側面に塗る時は固めの方がやり易い。また隙間ができてしまった箇所に、後から注入して埋めようとするのは最も難しい。兎に角、扱い難く綺麗に接着するのが難しい。左官職人が手際よく煉瓦にモルタルを塗りながら積んでゆくのを見ると、流石にプロの業(ワザ)だと感心してしまう。モルタルは時間と共に重力で変形して行くので、左官の仕事にはこの手際良さが必須条件である。

苦労して何とか積み上げ完成したものの近くで見ると、モルタルの厚みはバラバラ隙間があったり、はみ出していたり、とても見られたものでは無い。それでも見栄えは気にしないと思って、十数回使っているうちに隙間が出来たりモルタルが剥がれてしまった箇所がある。この段階での補修は非常に難しい。それでも、煙突の付け根部を除けば煙が漏れるような箇所は無いので助かっている。やはり上手く出来なかった部分は、思い切ってやり直すくらいの丁寧さが必要だったと反省している。

全天候型で利用促進

最初から石窯が雨に濡れないよう、屋根付きで設計をしていた。所が、当然ではあるがこれだけでは小雨の時に使うことが出来ないのである。これに気付いたのは、いざ7月中旬の梅雨が明ける前に会社の後輩達が来ると決まってからである。石窯を覆う屋根だけでは、作業エリアをカバーできないことがやってみて分かった。そこで考えたのが、屋根ではなく簡易テントである。農業用に使うパイプと建築用のグリーンシートを利用して、窯の前に作業用の雨除けを作った。

弱点は、パイプを地中にしっかり固定する土台が作れなかったため、大雨や強風に弱いことである。但し、台風が来そうな時は、予めビニールシートを外しておくことで対応できる。この梅雨時の来荘者のお蔭で、思わずしっかりとした雨対策ができた。特に今年は夕立が多く、十数回のうち3分の1は途中で雨に降られてしまった。しかしそれを気にせずピザパーティを開催することが出来たのは、工夫して全天候型のピザ窯にしたお陰である。やはり最初からそれを考えて設計しておくべきだったと反省している。

現在の使い方

上窯だけの一層式ピザ窯として利用している。これだと熾火を寄せて使うので、ピザを焼くスペースが少なく1枚ずつしか焼けない。いろいろと試行錯誤した結果、次のような要領で使用するようになった。

  1. 二つの煉瓦を窯の真ん中に置き、大きめの薪を横にして置く
  2. そのベースとなる薪に小枝や小さめの薪を縦て並べ、着火用とする
  3. 新聞紙にくるんだ着火剤を煉瓦の間に前後に2個入れ、バーナーで火を付ける
  4. 少し炎が出て来たら、燃えやすそうな小枝や細めの薪を縦にして置いて行く
  5. 炎の様子を見ながら、炎が窯口から飛び出る位まで薪を連続してくべてゆく
  6. 時々、電動ファンを利用して炎が窯内に平均的に当たるように調整する
  7. この状態で窯内の温度を測りながら1時間くらい燃やし続ける
  8. 熾火を置いてない部分の焼床が、300度近くになればピザが焼ける
  9. 熾火を左右どちらかの壁際に寄せ、細めの薪を1~2本熾火の上にのせて置く
  10. 空けたスペースに、クッキングシートに乗せたままピザを置く
  11. 1分毎くらいにピザを回し、焼き具合を調整する
  12. クッキングシートが燃えても気にせず焼き続ける
  13. 十分高温(300度以上)になってれば、2分~4分くらいで焼ける
  14. 焼いている間、窯の温度が下がらないように窯口の蓋は閉めた方が良い
  15. 数枚以上焼く場合は、適宜薪を入れ追い炊きし温度維持に努める

それぞれの窯の作りによって異なるので一概には言えないが、上記が十数回やってみた上で集約した私のノウハウである。美味しいピザを焼くには、できるだけ高温で焼くこと。また焼けたら熱いうちに食べることである。そこで私の所では、各自が1枚ずつトッピングしテーブルセッティングを完了してから、一気に焼きながらシェアーして食べている。準備段階から食べている間も、あれこれ各自のピザを評価しながらワイワイガヤガヤやれるので楽しい。その意味でピザパーティーは、大人も子供も関係なく全員参加で行うパーティーである。

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