BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

八ヶ岳山麓の移りゆく季節

4月上旬になると八ヶ岳周辺でも桜の満開の話が、ニュースで報じられるようになる。しかし今年は1週間ほど遅れているようで、なかなかニュースとして流れて来ない。そんな中、山梨の韮崎まで足を延ばし「わに塚の一本桜」を見に行って来たのである。わに塚は南アルプスの麓で標高400mの場所にある。そこから標高800mの諏訪湖に向かってなだらかに登っている。この標高差400mを約2週間かけ桜前線が上ってゆく。さらに諏訪湖から蓼科高原に約2週間かけ上ってゆく。標高1560mの私の山小屋のヤマザクラは5月上旬になってやっと開花するのである。この桜の開花による移りゆく季節感は、なかなか都会では味わえない標高差がある信州ならではの春の情緒である。八ヶ岳周辺の私のお気に入りの桜3個所を中心に、うつりゆく季節のイメージ映像を制作したので、先ずそれから紹介する事にしよう。

わに塚の一本桜(標高400m)

ここ数年、写真愛好家の人気がうなぎ上りである。理由は、一本桜で形がよいこと、色々な背景とのコラボができること、夜のライトアップで一層美しくなること、などなど沢山ある。但し、残念なことに近くに高圧線が通り、おまけにその鉄塔が近いことである。これが入らないように撮ろうと思うと、やや構図が限られてしまう。最近ここだけではなく、色々な場所で電線が邪魔になることが多くなって来た。これまで、便利さや効率面だけで景観は無視して電線が引かれて来たのは間違いない。今更ながらではあるが、電線の地中化は都会だけでなく景観を大事にすべき場所でも実施して欲しいものである。観光立国を目指すなら是非考えて欲しいテーマである。

わに塚へは今年初めて行ったので、先ずは昼間の晴天を狙って行った。やや薄い雲が流れて最良ではなかったが、まあまあ綺麗な写真を撮ることができた。周りの様子も大体掴めたので、来年は夕焼けと星空とのコラボを撮って見たいと思い帰って来たのである。

真原の桜並木(標高600m)

真原は今年で2年目になるが、ここはネット上に開花情報がタイミングよく上がってこない。しかし、今年はドンピシャで満開の晴れた日に行くことができた。それは、昨年計3回も足を運んで、いつ満開になるかを知る方法を見付けたからである。おおよそ実相寺の満開の1週間~10日後と言われていたが、やはり年によって違う。一番間違いないのは、標高をチェックすることだと言うのが分かった。桜の開花は平均気温に依存し、気温は標高に依存するからである。真原は同じ北杜市にある清春芸術村とほぼ標高が同じで、清春芸術村は開花情報をネットで容易に検索できる。従って、清春芸術村の開花情報を頼りにスケジュールが組めるのである。

真原の魅力は何と言っても並木道である。約1Kmの真っすぐな並木道で、樹齢も数十年経つので枝ぶりが良く周囲が畑で開けているので解放感もある。私が一番好きな景色は、晴れた日の並木道に木漏れ日が入る光景である。何とも心地よい空間が作りだされる。残念なのは車の乗り入れをさせていることである。もう一つの絵になるシーンは、アルプスと水仙とのコラボであるが、これは信州では当たり前の光景で真原に限ったものではない。ただ、遠方から訪れた旅行者にとっては今までに見たことのない美しい景観であり、素晴らしいと感嘆の声をあげたくなる気持ちは良く理解できる。

上川堤防の桜並木(標高800m)

上川は、八ヶ岳から諏訪湖に流れ込む川の中で最大の流域を持つ川である。茅野市、諏訪市の中心を流れる市民に親しまれる憩いの川である。ちょうど、河原に作られたマレットゴルフ場の並びの堤防沿い数百メートルに桜が植えられている。さらに、その河原には黄色の水仙が植えられており、桜と同時期に満開になる。黄色い水仙は長野県の県花と言ってもいいほどで、信州で春咲く黄色の花と言えば菜の花よりも水仙のイメージなのである。堤防に上がると川下方向に北アルプスの穂高連峰や槍ヶ岳、その手前に蝶が岳や常念岳が見える。今年は、蝶が岳の名前の由来である「蝶々が羽根を休めている姿」と言う残雪が、しっかり見えたのである。

また今年はカメラマンが増えたが半分は外国人であり、ここも彼らに占領されてしまうのであろうかとやや不安な気持ちになった。水仙が踏まれたり、堤防上に三脚を立て長時間その場を占有したり、行交う車の前を急に渡ったり、やや目に付く場面があった。そう言う自分も同じ写真愛好家としてそれを他山の石と受け止め、同じような迷惑行為をしていないか先ずは自分の行動を見直そうと思った次第である。

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