BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

スパコンが決め手の天気予報

今年は、梅雨から天候不順が続いており夏を過ぎてもまだ例年に戻らない。蓼科でのアクティビティーは、山登り・星空や夕陽などの写真撮影・スポーツなど天気に左右されるものが多い。晴れるか否かだけでなく、どれくらい雲が出るのかまで予測する必要がある。そのため1日に何回も天気予報を見るようになってしまった。お蔭でTVのお天気番組だけでなくスマホのお天気アプリなど、多くの気象に関する情報源を知るようになった。

次の写真は、台風16号が通過した翌日のBFCバルコニーである。残念ながら数日前から、台風16号が去ってもその後に快晴は望めないことが分かっていた。最近では、39 時間後までの天気であれば、スパコンの高性能化のお蔭でかなり高い精度で予測できるようになっているのである。そこで今回は、私が普段利用しているお天気アプリを紹介するとともに、気象予測の精度向上に欠かせないスパコン事情についても述べてみたい。

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お天気アプリ

読者の皆さんも、何がしかスマホにお天気アプリを入れていると思う。しかし、天気予報はどれも同じだと思ってはいないだろうか。実は、最近の天気予報は天気予報会社によって意外に異なる場合が多くなっているのである。約20年前に気象予報士制度ができ天気予報の自由化が始まったが、これまではどの予報士も殆ど同じことしか言わなかった。それが、今年になって気象庁の高精度な予測データが利用可能になったため、少し状況が変わって来たのである。即ち、スパコンの性能向上により、地球規模での気象予測が行われるようになった。EUはヨーロッパ中期予報センター、アメリカは米国海洋大気局、日本は気象庁がそれぞれのスパコンとシミュレーション・モデルで短期・長期の予測をしている。この結果はネット上に公開されているので、誰でも予報に利用することができる。

天気予報会社は日本のみならず海外の気象予測データも見ながら、独自の判断を加え天気予報をするようになって来たのである。従って、使用するアプリによって天気予報が異なっても可笑しくないのである。私は、普段はスマホアプリの『ウェザーニュース』とTV各局の天気予報でおおまかに基本情報を掴むようにしている。それをベースにアクティビティーに応じて、さらに詳細な予測するためスマホアプリの『GPV気象予報』と『MyRader』を調べることにしている。

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GPV気象予報は、気象庁や米国海洋大気局がスーパーコンピュータで計算した結果を、CG化して見せてくれる優れもののアプリである。このアプリで日本とアメリカのシミュレーション結果を比較することもできる。先日の迷走台風10号は中盤まではアメリカの予測の方が正しく、終盤になって日本の精度が上がってきた。最後は、日本とアメリカの予測の中間を通過していったのである。これを見ていると日本の気象予報会社は、まだまだ気象庁データをそのまま流しているだけに見える。私は気象庁の予測を鵜呑みせずアメリカの予測値も追跡しながら、独自の判断で天気予測をしていた。お蔭で、台風10号がノロノロ動く中でも、晴天の下でゴルフを楽しむことができたのである。

ちなみに、次の写真は投稿時9/21の1週間後の気圧と風速の計算結果である。台風17号の9/28正午(1週間後)の位置は、気象庁(左)と米国海洋大気局(右)とも台湾近くでほぼ変わらないため、日本直撃はほぼ無いことが予想される。

MyRaderは、現在の空気の流れをアニメーション化して分かり易く表示してくれる。これを見ると大気の動きが手に取るように分かり、何故いまこのような天気になっているかだけでなく今後どう変化しそうかのインスピレーションが湧いてくる。空気の流れや渦の状態を見ているだけで、台風や温帯低気圧、寒冷前線や停滞前線など天気図が想像できる非常に面白いアプリである。

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スパコン開発競争の恩恵

最近、民進党の党首になった蓮舫氏が、『何故、世界第2位ではいけないのか?』と仕分けで言ったのは、まだ記憶に新しいところである。しかし、スパコン世界1を各国が目指し競争したお蔭で、地球シミュレーションが可能になり天気予報の精度が格段に向上したのである。地球シミュレーションとは、日本近郊だけでなく地球全体をモデルとしてシミュレーションすることである。計算時間は膨大になるが、精度の悪い境界条件を与えなくて良いため、一貫性あるシミュレーションができる。即ち、大気は地球全体で繋がっており、ヨーロッパの天気は数日後には必ず日本に影響するのである。こうなると、どこの国の地球シミュレーションが精度が高いのかの競争が生まれる。当然のことながらその計算ツールであるスパコンの性能向上は必須である。世界2位を狙う競争なんかは、あり得ないのである。たまたま結果が2位だったというだけで、世界一しか狙いようがないのである。

まだまだスパコン開発には費用がかかるので、国家レベルでないとなかなか取り組めない。気象予測の分野ではEUが世界最大規模のヨーロッパ中期予報センターを持っている。それに追随するのが、アメリカの米国海洋大気局と日本の気象庁である。

しかし、2016年のスパコンの世界1位2位は中国のSunway TaihuLight、Tianhe-2である。米国は中国に1,2位は譲っているが、未だにベスト10に7機種が入るスパコン大国である。日本は、蓮舫氏発言の影響有無は分からないが京が5位に甘んじてしまっている。しかも、中国のSunway TaihuLightは京の9倍、アメリカのTitanは約2.7倍の能力を持っている。現在の中国の気象予報の実態は良く分からないが、スパコンの実力から見れば何れ世界一のレベルになるのは時間の問題である。

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気象予測で異常気象を抑えることはできないが、被害を極小化することは可能である。それによる経済的な損失防止の効果は莫大であり、何よりも適切な事前対策で人命を救うことができる。スパコンの性能が上がれば上がるほど予測精度も上がり、経済的効果や人命尊重に大きく貢献することになるのである。

科学技術の発展に対しては、一面的な物事の見方しかできない人や短期的視点でしか見ていない人が口を出すべき領域ではない、と思ってしまうのである。もう一方で、何のために科学技術発展を推進するのかの倫理的価値感を明確にしておく必要がある。これを間違えれば北朝鮮のように人類を不幸にする様なとんでも無いことに使われてしまう。トップリーダーには思慮深さと高い倫理観が求められるのである。当然のことながら、知名度や世襲だけで成り上がった人にトップリーダーを任せるのは、極めて危険な事と言えよう。

 

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