BloomField Club ( Close Encounters of Healing )

ホノルルを走る(レース本番編)

昨年、ホノルルマラソンへ5泊7日で行ってきました。初のフルマラソンという事もあり、現地で筋肉痛のケアーを3日間できるように考えて日程を組みました。従って、12月12日(金)に現地入りしゼッケン取得など手続きをし、翌13日(土)はコース下見と軽いトレーニング、マラソンの号砲は14日(日)です。レース後の15日(月)~16日(火)は筋肉痛ケアーの休養、17日に帰国です。12月という忙しい時期に1週間もお休みを頂き関係者の皆さんには大変感謝しています。

本編ではその1週間のツアーのうち、14日(日)のレース本番に絞って紹介します。

 

本番当日は午前2時起床

マラソンのスタートが夜明け前の午前5時で、12時間走っても夕方の5時にゴールできます。ところが毎年、最終ランナーは夜の7時~8時ころにゴールしTVで生中継され称賛されます。ですから大会主催側としては朝の5時は決して早過ぎない時間です。そこで、私のツアーでは参加者全員を夜中の2時にモーニングコールで起こします。前日の夜8時に寝ても睡眠時間6時間です。いつも寝るのが遅い私は、ワクワク、ドキドキが入り混じった興奮状態でそんなに早い時間に寝られません。そこで止む無くビールを飲んでしまいました。お陰で走るには良くないお酒ですが、それで何とか眠りにつけてモーニングコールに頼らず2時前に起床できました。

早速、着替えて準備し外に出てみるとハワイ特有のシャワーが降っていました。最初は雨模様で走るのを覚悟し100均のカッパを持ってホテルロビーに集合します。朝食のオニギリをもらい注意事項を聞いてバスに乗り込みスタート地点のアラモアナ・ショッピングセンターに向かいます。私のツアーは、ゴールのあるカピオラニ公園に最も近いワイキキにホテルを3か所取っていました。そのホテルはスタート会場からは遠いのですがゴールのあるメイン会場からは歩いても10分足らずです。言うなればゴール後の専用テントも設置していて、マラソン後のケアーに配慮したツアーと言えるでしょう。

ホノルルマラソン コースマップ

ホノルルマラソン コースマップ

ゴール会場の地図

ゴールのあるメイン会場のマップ

花火の合図でマラソン開始

霧雨が降りしきる中、アラモアナショッピングセンター前の大通りに沢山の人が集まってきました。Momonaクラブのガイドに案内されるままランナー集団のほぼ真ん中に陣取り、スタートの合図を待ちます。当クラブは目標6時間半と7時間半の2つのグループに分かれますが、それぞれコーチがペースメーカとして一緒に走ってくれます。もっと早く走りたい人は集団の前の方に移動して単独走行します。道路に出て待つこと30分くらいですがその間、けたたましい音量で音楽が鳴り日本語と英語で交互にDJが囃し立て気分を盛り上げて行きます。すると突然、花火が打ちあがりました。何発も大音量の花火が夜明け前の空を綺麗に染めます。しばし、ランナーは花火の写真を撮ったり、皆で記念写真を撮ったりしています。花火はスタートの合図でDJが走ってくださいと叫んでも、誰も走ろうとしていません。走ろうと思っても前が進まないのでみんな暫く花火鑑賞です。5~10分すると集団が少しずつ動き始めたのでその流れに乗ってマラソン開始です。とにかくスタートラインを完全に超えるまでに20分以上はかかったと思います。霧雨がやや強くなり肌寒さを感じますが走ればすぐに暑くなります。

 

お祭り騒ぎのダウンタウンからワイキキへ

最初の5Kmはダウンタウン通過で、道端で応援する人、クリスマスイルミネーションの前で記念撮影する人、興奮状態で騒いでいる人、全くマラソンになりません。しっかり走ろうとすると人をかき分けぶつかってしまうので余分な筋力を使うだけです。ここは慣れたペースメーカのコーチを見失わないようにひたすら後をついて行くのみです。それもあって、コーチたちは今年は電飾付きの目立つコスプレで走ります。有名なクリスマスツリーのイルミネーションの前にクラブメンバーが集まって記念写真を撮りました。

この撮影イベントが終わるといよいよマラソン開始と言う感じになってきました。ペースメーカはクラブの専属コーチの女性ですが、4時間台で走る実力の持ち主です。お祭り騒ぎで遅れたタイムを取り戻すかのようにペースアップして行きます。ここは難なくついて行きました。しかし、起きてから3時間以上たち雨で身体が冷えたためかトイレが近くなってしまいました。ワイキキ抜ければ10Km超え、カピオラニ公園に最初の休憩所があるのでそこでトイレタイムと思っていました。ところが、コーチは止まる気配すら見せず通過してしまいます。慌ててコーチに聞くと、ここは非常に混んでいるので14Kmまで我慢するよう言われてしまいました。もっと事前にしっかり確認しておけば良かったと反省です。確かに臨時トイレがだだっ広い公園内に何十と並んでいますが、全部が長蛇の列でした。雨も治まって来たので気を取り直してダイヤモンドヘッドへ向かいました。

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ダイアモンドヘッドを越えて高速道路へ

ダイアモンドヘッドは海から隆起してできた山で、その断崖絶壁に作られた道路を登って山の向こう側に出ます。この道路は往復で使われるためセンターラインにロープが張られ半分に仕切られています。このロープは何十人というボランティアの人たちの手持ちロープです。中には陽気な人がいて大きな声で応援しハイタッチしてくれる人がいます。道が狭くなり順にハイタッチしたりするため、ラッシュのようにランナーが数珠繋ぎになって思うように走れません。それを抜けると高級住宅街のカハラの町に入ります。町の入り口の公園にトイレが設けられていて、そこが最初の休憩ポイントになりました。確かに前の休憩所に比べると並んでいる人が少なく、コーチが「我慢!我慢!」としきりに言ったのが分かります。私はまだちょっと余裕があったので、遅れたメンバーに休憩を知らせるため道路に出て待ち構え、見つけては案内する役を買ってでました。Momonaのメンバーは同じクラブのTシャツを着ており、私は頭が蒸れるのでやめましたがレインボーのカツラをかぶっているので直ぐに分かります。

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休憩所を後に、カハラの住宅街に入るとアップダウンが激しい道が続きます。そこから数キロは高速道路まで徐々に登って行きます。ハーフマラソンで言うとちょうどしんどくなる距離で、これまで調子に乗ってオーバーペースになっていたのか、コーチについて行くのがきつくなってきました。どうしようか迷っているうちに、ちょっとキツイ上り坂が出てきてついて行けませんでした。ここで無理すると完走に響くと判断し、ここからマイペースで走ることに切り替えました。第1グループの半分近くは自分のペース配分に切り替え既にバラバラになり始めていました。高速道路に乗ってしまえば平坦な道になります。何とかそこまで我慢して歩かず自分のペースを作り直して走りました。やっとの想いで高速道路に乗ることができました。

風雨に見舞われた高速道路

ホノルルマラソンは本来暑さ対策が必要なマラソンです。ところがこの日は朝から天候が悪くずっと雨模様でした。一旦、雨は上がったように見えましたが高速道路を進むにつれ、雨と向かい風に悩まされます。でも一度ビショ濡れになってしまえば、それ以上はどれだけ濡れても同じなので気にならなくなります。但し、iPhoneはあまり濡れると動かなくなるので、RUNNETやGoogleMapを使うのを諦め、写真専用にして電池を温存することにしました。しばらく変化のない高速道路を走っていると前方にTBSの報道車が走っているのに気が付きました。今回、スポーツキャスターの小島瑠璃子さんや、ELTボーカルの持田香織さんが参加しているので、どちらかが近くを走っているのだろうと思いながら走っていました。すると20Km地点の道路真ん中で人だかりができていました。行ってみると高橋尚子さんがいました。どうやら小島瑠璃子さんのコーチをしていたようで、彼女をサプライズさせるため待ちかまえていたようです。iPhoneの電源を入れてみると動いたので暫しビデオ撮影をしました。残念ながら今日はハイタッチはありませんでした。あまり時間を無駄使いしないよう直ぐに切り上げてマラソンに戻ります。風雨はありますが、道が平坦なのでペースは維持し易く何とか順調に6時間ペースで走れました。

雨上がり、きれいな虹のハワイカイ

20Km地点で高橋尚子さんと会ったあと、ハーフ経験しかない私にとっては未知の領域に入りました。しばらく我慢して変化のない高速道路を走っていると、下見で覚えたハワイカイの町の入り口にあるマンションが見えてきました。あそこまで行けば町を一周して折返しに入り後半戦です。ところが25Km過ぎの町中に緩いアップダウンがあって、これが結構響いて歩く時間が長くなってしまいました。それでも人家密集しているので多くの人たちが家から出てきて一生懸命応援してくれるので励まされます。自家製のプリッツェルを配ってくれるご婦人、家の前で個別に水やパワージェルを配ってくれる人、靴磨きのような台を持ち出しサロンパスを噴霧してくれる子供たち、ギターを弾く男性、色んな形で応援してくれるので勇気づけられ少しずつ走るペースを取り戻してきました。町を一周するとまた高速道路に戻ってダイアモンドヘッドを目指します。高速道路に入るころになってやっと雨も上がり綺麗な虹が出てきました。ここから復路、残る十数キロを走り切れれば念願のゴールです。

 

仲間を励まし、力を振り絞る

対面コースの高速道路の往路では、反対側を自分より早い人たちが猛スピードで走っていくのを羨むだけでした。復路になるとその反対で自分より遅い人たちと対面しながら走ります。Momonaクラブの人を見つけると「Momonaガンバレー!」と自然と声をかけてしまいます。何となく優越感が湧いたような気にもなりますが、声をかけることが自分への激励にもなるので暫く反対側を見ながら走っていました。そのうち30Kmを超えたころから足が痙攣しそうになってきました。痙攣してしまったら走れなくなるので、休んでストレッチをします。そして様子見ながらまた走り出します。それを何回か繰り返しているうちに目標の6時間が怪しくなってきました。残念ながら完全に痙攣が治る見込みはなく悪くなる一方なので、6時間は諦め完走することに目標を切り替えることにしました。そのお陰で騙し騙し走りながらもようやく高速道路を降りるところまで来られ、35Kmを通過することができました。

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ゴール目指し、ラストスパート

高速道路を降りると、毎年ハワイアン・オープンが開かれるワイアラエ・カントリー・クラブの横を走ります。あの青木功が1983年に海外初優勝を果たしたゴルフ場です。左手に木々の隙間から見えるコース、右手にホノルルの高級住宅街を眺めながら少しリラックスして走れるようになりました。この辺りは平坦な道ですが、周囲の変化もあって走りやすいコースです。周りの景観も楽しみながら無理せず歩いたり走ったりの繰り返しで、ダイアモンドヘッドまで戻ってきました。ダイアモンドヘッド・ロードが下りになると、そこは40Km地点です。ここまで来ればあと2Kmは這ってでも行けると思うと嬉しさがこみ上げてきて顔もほころびます。もう足は限界ですが、何とか攣らないように注意し走ります。坂を下ってカピオラニ公園の入り口でゴールまでのストレートの道に左折すると、そこはビクトリーロードです。あと1Km、何とかラストスパートしようと思うのですが、何とも足が重く思うように動きません。それでも気持ちは前に前に進むのであっと言う間にゴールが見えてきました。ここまで来れば最後は有終の美をと思い、職場の後輩たちがくれた「闘魂の寄せ書き」をポケットから取り出し、高く掲げながらゴールしました。やはり嬉しさがこみ上げ感無量、達成感で一杯な最高の一瞬です。

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この3年間、ホノルルマラソン目指して会社内でも公言し有言実行してきました。それは会社の後輩たちに私が残せる唯一の目に見えるメッセージであり、同時に年老いてもチャレンジする気持ちを持ち続けたい自分のためでもありました。我ながら自分を誇らしげに思えた瞬間でした。願わくば家内も一緒に連れて来てあげれば良かったと、多少の後悔の念を抱きつつも大満足な一日でした。

ツアー会社の完走祝い写真

ツアー会社の完走祝い写真

完走証明書とゼッケン

完走証明書とゼッケン

 

完走後は筋肉痛を癒すため、しばしハワイを満喫させてもらいました。それについても次回の番外編で紹介させて頂きます。

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