やっと夏本番となり、ここ蓼科高原でも夕食にBBQを楽しむ山荘が見られるようになって来た。アメリカ駐在時代は毎週末のようにBBQパーティーをやっており、家族同士、仕事仲間など人と人との絆が自然な形でできていた。日本に帰任しても、何とかBBQパーティーをやりたいと思っていたが、ここBFCでやっと実現できるようになった。BFCのバルコニーは約17畳と広く、ブナ、ミズナラ、カラマツなどの高木に囲まれ、南向きの緩斜面を見下ろす位置にある。緑豊かで空気が澄んだバルコニーは癒しの空間そのもので、ここで催すBBQパーティーは来訪者に人気のイベントである。また、周りの山荘と適度な距離があるので、少々会話が弾んでも近所迷惑になることはない。BBQパーティーは、BFC来訪者への最高のおもてなしなのである。
そんなこんなでこの一年の間に数多くのBBQパーティーを催した。試行錯誤の結果、ようやく評判高いメニューが出来上がって来た。今回は、そのメニューとBFC流のやり方について一挙大公開しよう。そこで、メニューや事前準備について詳しく紹介する。
メニュー
メニューは日々変化しているが、現在のBBQパーティー・メニューを列挙する。人数や好み、食材が容易に手に入るか否かに応じ組み合わせておもてなししている。
<メインメニュー>
- 厚切りステーキ ・・・ 厚さ3cmのリブアイロースを、塩コショウだけで味付けて焼く
- 豚スペアリブ ・・・ スペアリブを特製タレに付け、冷蔵庫で一晩寝かせてから焼く
- 馬刺し ・・・ 冷凍を電子レンジで半解凍し薄く切り、特製タレで食べる
- ウィンナー ・・・ BBQなので大きめの焼用ウィンナーが良く、子供に人気がある
- 牛タン ・・・ 冷凍だが解凍しなくてもそのまま焼いて、塩胡椒で食べられる
- 手羽中の甘辛揚げ・・・ 手羽中をノンフライヤーで揚げ、フライパンでタレを絡める
- アユの塩焼き ・・・ アユに踊り串を刺し、塩をふってじっくり遠火で焼く
- イワナの塩焼き ・・・ アユの代わりにイワナを使う
- イカのホイル焼き・・・ 新鮮な刺身用イカを、はらわたと一緒にホイルに包んで焼く
- サザエ磯焼 ・・・ サザエを火にかけ、煮えてきたら醤油を垂らして食べる
- 赤海老の串焼き ・・・ 赤海老の頭から尻尾に真っすぐ串を刺し、塩をふって焼く
- エビのアヒージョ・・・ 小海老とオリーブオイルをアルミ容器で加熱し塩胡椒で食べる
- マッシュルームのアヒージョ・・・ 小海老の代わりにマッシュルームを使う
- チーズフォンデュ・・・ カマンベールをアルミ容器で加熱し、具材を付けて食べる
<サイドメニュー>
- コールスロー ・・・ 作り置きできるので、当日は生野菜サラダより手間要らず
- 生野菜サラダ ・・・ レタスやセロリなど地元の名産物を特製ドレッシングで食べる
- 焼きトウモロコシ・・・ 茹でておいたトウモロコシに醤油を塗りながら焼く
- 焼きキノコ ・・・ エリンギ、シイタケなどのきのこを焼く
- 焼き野菜 ・・・ 切るだけで良いので種類や量の調節用に用いる
- 焼きオニギリ ・・・ オニギリを遠火で醤油を塗りながらじっくり焼く
- マシュマロ ・・・ 子供に大人気、マシュマロを串に刺し自分で焙りながら食べる
食材調達と下ごしらえ
前述のメニューの中で、食材選びが難しいものや下ごしらえが必要なものについて、BFCでの経験を紹介する。
- 厚切りステーキ ・・・ これまで国産が良いとの先入観が強かったが、外国産で十分であることが分かった。炭火であるからこそ厚切りステーキが美味しく焼ける。できれば3cm以上の厚さのステーキにしたいが、このくらいの厚さになると普通のスーパーでは手に入らない。そこでいろいろ探した結果、茅野では辰巳屋さんで調達できることが分かった。このお店は、いつでもニュージーランド産のリブアイロースを好きな厚さに切ってくれる。グラム単価も驚くほど安く美味しい。これが、今ではBFCいち押しのメインメニューになった。
- 下ごしらえ 焼く1時間前に冷蔵庫から出し、肉を常温に戻す
- 片面だけ包丁の峰で叩き、塩胡椒を両面にする
- 焼き方 先ず叩いた側を上にして強火で焼く
- 下側が焼け肉汁が染み出て来たら、裏返してじっくり焼く
- 焼けたらアルミホイルに包んで10分休ませ、中まで火を通す
- 豚のスペアリブ ・・・ 普通のスーパーでは置いてなかったり、あっても2・3パックで量が足りなかったりする。茅野では手に入り難いと思っていたが、これも辰巳屋さんで手に入る。1Kgくらいなら冷凍だがいつでも買えるので、最近はこれも定番メニューになって来た。知人から教えてもらった特製タレに付け、冷蔵庫で1日くらい寝かせる。全体にタレが馴染むよう、時々上下をひっくり返すと良い。
- スペアリブ 800g
- 醤油 0.5カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 砂糖 大さじ1.5
- サラダ油 大さじ1
- ネギ 1本(みじん切り)
- にんにく 1片(すりおろし)
- しょうが汁 小さじ1
- 馬刺し ・・・ 元々は信州名物だったが、今の馬肉は殆どが輸入である。馬刺しには、霜降り、ロース、赤身の3種類あるが、一般には赤身しか売っていない。値段と美味しさは明確に比例しており、何と言ってもカナダ産霜降りが最高に美味しい。これこそ上述の辰巳屋さんは全国販売するほどの専門店なのである。
- 手羽中の甘辛揚げ ・・・ これはBBQ料理ではなく予め作り置きしておくメニュー。メインの肉類が焼けるまで時間かかるが、その待ち時間に食べてもらえるので重宝である。元々はフィリップス ノンフライヤー HD9220/27をプレゼントで頂き、その料理本にあったレシピであるが、味が良いとの評判が高かったのでBBQの定番メニューに入れてしまった。
- アユの塩焼き ・・・ 残念ながら茅野ではニジマスはどのスーパーも置いてるが、アユやイワナは時々しか置いてない。アユやイワナは備長炭などを使うと、遠火でじっくり横置きなら1時間くらいで焼ける。縦置なら2時間くらいかけてじっくり焼く必要がある。縦置きは丸かじりでき大変美味しいが時間がかかり過ぎるので、BFCでは横置きで焼いている。横置きだとBBQ開始から1時間なので、ちょうど肉に飽きて来るころに出せるので後半のメイン料理になる。何とか定番メニュー化できるよう、調達方法を検討中である。
- イカのホイル焼き ・・・ アユに比べると、刺身用のイカはどこのスーパーでも手に入るので便利である。但し、下ごしらえが少々面倒であり、気持ち悪いと言ってできない人もいる。イカの足を胴体から丁寧に引き抜き、はらわたを残す。足は適当な長さに切り、胴体は適当な幅で輪切りにする。それらを全てアルミホイルで包み、醤油を垂らしてBBQグリルで焼く。時間がかかるので最初からグリルの隅の方に乗せて置く。焼けたら、はらわたをかき混ぜて食べる。
- サザエと赤海老の磯焼 ・・・ サザエはただ焼くだけ。身が煮えたぎって来たら好みで醤油を垂らし、もうひと煮立ちさせてから食べる。赤海老は、塩をふって一度汚れを洗い流し、背ワタを取っておく。串を頭から尻尾にかけ真っすぐに刺し、塩を振ってから焼く。これも半焼けにならないよう、じっくり焼いてから食べる。残念ながら、茅野ではこれらの魚介類は時々しか売っていないので、今のところ定番メニュー化は難しい。
- コールスロー ・・・ これまでは、生野菜サラダが主であったが、意外にメインメニューと準備が重なって面倒である。その点コールスローは、野菜がサラダより沢山さん食べられ作り置きもしておけるので便利である。今年になって、これに気づき定番化して来たメニューである。レシピもアメリカ仕込みの友人から教えてもらった実績が高いものを使用している。
- 具 キャベツ、人参、キュウリ、セロリ、紫玉ねぎ、ピーマン、ハムなど
- タレ 酢 大さじ2
- オリーブオイル 大さじ1
- 砂糖 小さじ1強
- マヨネーズ 少々
- 胡椒 少々
BBQパーティーのための道具
BFCでは、BBQをやるため次の5つの道具を使用している。何れもShort Break/アウトドア関係に掲載したものである。
- グリル ・・・ Muster Builtの丸形22.5inchの大型グリルと、Weber Stephenの丸・小型グリルを使用している。日本では角型が多いが丸形を使用しているのは、アメリカ駐在時代に丸形を使用していたので、それに愛着があったためである。特別な理由は無い。
- テーブル ・・・ 折り畳み式の高さ2段調節可能なコールマンのテーブルを使用している。雨になれば、低くして室内でも利用でき便利である。またコンパクトに折りたためるので収納や持ち運びも楽である。
- タープ ・・・ 雨用にも日よけにもなり、組み立てが容易である。急な雨の時にもグリルをタープの下に持って来れば、BBQは継続できるので最低一つはあると良い。
- 炭起こし&炭 ・・・ 炭起こし方法もいろいろ試したが、結局はチャコールスターターを使うのが無難と言うことになった。最初は炭の種類は気にせず、どこにでも売っているBBQ用の木炭を使用していた。しかし、焼きの難しい食材が増えるにつれ炭も使い分けが必要であることが分かって来た。そこで現在は、次の3種類の炭を使い分けしている。
- 一つ目は、一般のBBQ用木炭。これは、火が付き易いが長持ちしない。また炎が出やすく食材が焦げやすいので、油が落ちるものについては注意が必要。
- 二つ目は、備長炭である。火が付き難いが一旦火が付くと、火力も強く長持ちする。鮎やイワナ、あるいは厚切りステーキやスペアリブなどじっくり焼くものに向いている。
- 三つ目は、豆炭である。これもやや火は付き難いが個数で火の調整ができるので、ダッチオーブンの強火・弱火をコントロールするのには欠かせない。
- 食器類 ・・・ できる限り後片付けが楽になるよう、紙皿、紙コップ、割りばしなど使い捨てできるものを利用する。エコには反し多少気は引けるが、後片付けが短く楽にできる。全員で一気にやってしまえば、BBQパーティーの楽しい雰囲気を壊すこと無く片づけられる。だからこそ、アメリカでは毎週のようにBBQパーティーが行えていたのである。
ほかにもダッチオーブンを使ったアウトドア・メニューを研究中である。今のところ、海鮮パエリアは得意であるが、これを作るとBBQに手が回らなくなるのでBBQの定番メニューには入れてない。しかし、ダッチオーブンではスープやローストビーフ、さらにはデザートまで作れるので、早くBBQパーティーの定番メニューに入れてゆきたいと思っているのである。
<参考:炭の起こし方>
- チャコールスタータの底に火が付き易いBBQ用木炭を必ず入れる
- その上に、必要量に応じBBQ用木炭、豆炭、備長炭などを入れる
- スターターの置場には下から空気が入るような場所や台を準備する
- 先ず着火剤に火を付けて置き、上から新聞紙をまるめて被せる
- その新聞紙の上に炭が入ったチャコールスターターを置く
- 新聞紙に火が付けば直ぐにBBQ用木炭に火が移り、煙と炎が上がり始める
- あとは何もせず放っておくだけで、着火し難い備長炭にも簡単に火が付く
- 空気が下から上へ抜ける煙突効果でどんどん炭に火が燃え移る(約30分)